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2014.09.4

草葺安全屋根改修工事のながれ‐おまけ

大原邸_茅葺き

前回まで、草葺安全屋根改修工事のながれと題して3回にわたって、簡単に草葺安全屋根工事の概要とその工事の流れなどをご説明させていただきました。

 

身近で、よく見ていたり、実際住んでいたりするけど、よく知らなかった草葺安全屋根のことについて、少しでも知っていただければと思い書いてきましたが、十分時間をかけて推敲しているわけでもなく、しごとの合間に書いていますのでうまくお伝え出来ているのかどうか・・・。

 

さて、今回は、タイトルに「おまけ」とつけさせていただきましたが、実際はおまけではなくって非常に稀なと言うか、弊社でもたぶん今後もないのではなかと思われる草葺安全屋根の施工事例をご紹介させていただきたいと思います。

 

 

こちらに掲載させていただいた写真が、屋根改修工事前の写真になりますが、ご覧の通り普通の茅葺屋根の民家・・・と思えば、屋根の下を見ていただくと、しころ部分はシャープにカラーベストコロニアルで葺かれ、その下に見える丸石積みの壁面、白い格子のサッシなど、ちょっと普通とは違うことが直ぐにわかると思います。

 

ちなみに、今回は屋根のお話しですが、こちらのお宅の内部も普通とはいえないほど、大きくリフォームされていまして、大理石張りの床だったり、カーブした壁面だったり、お施主様の手作業による施工(漆喰塗りなど)も相まって、とても素敵な空間が広がっています。

 

こちらの茅葺き住宅にお住まいのお施主様は、私たち以上に住まいに関心が高く、デザインセンスもすぐれ、どのような住まいにしたいのかといった方向性を明確に持たれた方でした。

 

普段、私たちは、いろいろとご相談させていただきながら、お施主様のお考え、思いを引き出させていただきながら形にしてくお手伝いをさせていただくのが仕事です。

 

住まいの新築はもちろんのこと、リフォームなどでも、どうすればいいのか? なんとなくこんな感じにというのはあっても、技術的に、予算も含めてなどということになると、何がなんだかわからないというのが普通のことになります。

 

そこで、私たちの出番ということで、お話しをお伺いしながら、形になるようにお手伝いさせていただくのです。

 

しかし、こちらでは、すでに出来上がっているお施主様の強い思い、デザインをどのようにすれば実現することができるのかといった、少しいつもとは違う進め方、お仕事になりました。

 

たぶん茅葺屋根を残し、維持してくかどうかも悩まれたことかと思いますが、結論としては金属板で覆う選択をされました。

 

しかし、同じ金属板と言ってもそこからが大きく違っており、普通ではないデザインと素材を選択されることになりました。

 

大原邸銅板屋根1

こちらが、屋根葺工事が完了した後のお写真になります。

 

屋根は、銅板の一文字葺で仕上げられました。妻面、ケラバも含めすべて銅板で覆われています。

 

もともと一般的な入母屋造りの茅葺屋根でしたので、普通はその形状を引き継ぐ形で入り母屋造りの屋根形状となりますが、こちらでは元の茅葺屋根を大胆に大きくカットし、極めて寄棟に近い形の大屋根形状となりました。

 

棟は小さくシンプルに仕上げられ、棟の両端に換気のための換気口が小さな妻面のように設けられました。

 

大原邸銅版屋根2

南面のしころは改修されて現代的なデザインのファサード、カラーベストコロニアル葺きのデザインで仕上げられていますが、西面は和瓦葺きのしころが残され、ファサードも和風のまま、建具も木製の建具のまま利用されています。

 

和洋というか、新しいデザインと、歴史あるデザインが上手く同居しているこの建物の新しい顔となった大屋根も、全く違和感なく溶け込んでいるように思われますがいかがでしょうか。

 

このような屋根のデザインは、なかなか私たちからはご提案させていただくことできないものです。どうしても、万人受けするような一般的なデザイン(予算も含め)で、普通のものをお勧めする傾向が強くなってしまいます。

 

もちろん、私たちもより良いデザイン、素材、住まい方をご提案させていただきたいところなのですが、そこはお施主様のご理解を頂いてからという厳しい条件がついてきます。

 

こんないいデザイン、素材がありますが・・・といっても、なかなか一般的で普通ではないご提案というのは、し難いという場面が多いのです。

 

ただ、今回のようにお施主様から積極的にご提案いただいた場合は、出来る限り、技術や予算、法的に問題ない限り、その実現に向けて取り組ませていただきたいと考えています。

 

仕事はなかなか大変ですが、その分職人たちにとってもいい経験となり、その仕事をさせていただいた誇りとなっていくのは、間違いないことでしょう。

 

また、お施主様にご信頼をいただき、デザインその他お任せいただいた場合も、持てる能力と技術を最大限にいかして、ご提案、設計、施工させていただきたいと考えます。今回のような普通と少し違ったものをお望みの場合も大歓迎です。

 

ぜひ、遠慮なく御相談、お申し付け下さい。

 

さて、こちらのお宅の現在はというと、銅板葺きたてのあのキラキラした輝きもなくなり、非常に落ち着いた屋根となっており、周辺の風景に溶けこむばかりか、地域景観の維持向上に非常に大きな役割を果たされていることと思います。

 

特に母屋のまわりに建てられた蔵や納屋と一体になった塀も含め、屋敷全体がすばらしい景観を醸しだされています。

 

ぜひ、皆様にも一度ご覧いただきたいところですが、何分個人の方のお住まいなので、写真だけでご勘弁いただければと思います。

 

このように今回ご紹介させていただいた草葺安全屋根改修工事の事例は、他とは少し違うが、しかし伝統的な工法、形状を継承しつつも新しいデザインと住まい方を求められ、そしてその実現に挑戦されたお施主様の事例でした。

 

この他にも、草葺屋根安全改修工事といっても多様で、菱形や長方形に加工した鉄板で葺く事例は古くからありますし、波板や瓦棒のような形状で葺かれた屋根もあります。

 

草葺安全屋根改修工事だけでなく、一般的なお住まいの新築、改修、リフォームの際などにも、ちょっとした思いを大切にして、普通とは違った小さな挑戦をされてみるといいかもわかりません。

 

けっして大胆でない小さな挑戦でも、それはお施主様、そしてご家族の皆様の個性を発揮し、大切な住まいのシンボルとなって、心に刻まれるものになるかもわかりませんから。

 

 

草葺安全屋根改修工事はもちろん、その他の屋根の葺替、改修などに関するお問い合わせも遠慮なくお問い合わせください。

中川住研三田営業所 TEL.079-568-0375 または、お問い合わせフォームから。

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