新耐震基準だから大丈夫?

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建築関連のお仕事をされている方ならみんな知っておられるであろう、日経ホームビルダーのWEB版記事として「リノベブーム再考(1)新耐震基準に満足するな 2015/02/17」が掲載されていました。
昨今の空き家問題が注目されるようになる前から、建物の用途や機能を変更、グレードアップして価値を高める「リノベーション(リノベ)」が注目され始めていました。

 

 

すでに一般の方に定着しているリフォームと違い、リノベーションは、まだまだこれからの言葉なのかも分かりませんが、言葉を知らずとも、増改築と言った言葉の中で、機能の向上も求められ、実行されてきたように思います。

 

 

さて、記事の中では、既存の住宅ストック、つまり中古住宅などの質は玉石混交(事実ですね)だし、今後ますます機能性や質が追求されるようになる時代の中では、リノベーションのブームに乗っかるだけでなく、十分に気をつけないといけないということが指摘されています。
特に命に関わる耐震性の問題点を指摘されています。

 

 

従来から問題とされていた耐震性については、建築基準法に基づく現行の耐震基準が1981年(昭和56年)6月1日に導入されたため、それ以前を「旧耐震基準」、それ以降を「新耐震基準」と呼んで、この旧耐震基準の建物は地震で倒壊する恐れが高いので、できるだけ耐震診断し、必要に応じて改修しましょうとされていました。

 

 

自治体の補助制度もこの昭和56年以前のものが対象とされています。
弊社においても、この旧耐震基準にあたる昭和56年以前の建物ついて、三田市、篠山市などを中心に補助金の活用なども含めて、耐震診断と改修をおすすめしてきた経緯がございます。

 

 

そして、十分とは言えないまでも、この旧耐震の住宅などについては、診断と改修が進められてきており、一定の実績があがっていることも事実といえるでしょう。
しかしほんとうに大丈夫?かくれた実態はないの?というと、「新耐震基準が90%以上になったから安心だ」とは、とても言えない現実があるようです。

 

 

というのは、木造住宅の耐震基準は、2000年(平成12年)6月1日にも大幅に改正されているのです。

 

 

これは、あの阪神大震災を受けて、曖昧だった規定の中で、壁量計算に配置バランスの考え方を導入したり、筋かいや柱の接合方法を細かく規定したりするなどして耐震性を強化されていたのです。

 

 

つまり、現行の耐震基準は「新・新耐震基準」とも言えるとのことで、旧耐震だから危なくて、それ以降だから大丈夫!だとも言えるわけではなく、新耐震基準で建てられた建物の中にも、問題のある、耐震性能が低いかもわからない建物が存在する可能性があるということです。

 

 

では、どれくらいその基準で建てられた建物があるかというと、新・新耐震基準で建設された2000年以降の住宅は、約1305万戸であり、全体の4,780万戸と比較すると約27.3%でしかないことがわかります。

 

 

ということは、残り約72.7%は、本当の意味での現行基準で建てられていない現実が見えてくるのでした(旧耐震基準等で耐震補強された建物を含みます)。

 

 

これが、新耐震基準に満足していてはいけない理由だということなのです。

 

 

実際には旧耐震基準の建物でも、現行基準でみても安全である場合もありますし、新・新耐震基準と言われる現行基準で建てられたものの中にも非常に無理のある構造計画であったり、施工不良、または増改築時に柱や耐震壁などの重要な構造部分に無理な変更などを加え、とても安全だなどとは言い切れない場合もあるでしょう。

 

 

やはりできることなら、耐震性能について適切に判断、検証していただける専門家の方に調査していただくことをお勧めいたします。

 

 

何かの機会に一度耐震診断しておくだけでも、お住いがどのような状況なのかを把握できるうことにつながり、将来計画もたてやすくなると考えられます。

 

 

ここで指摘されている昭和56年以降の建物の場合には、自治体の補助金などの制度が適用できないと思われますが、お住まいの改修、リフォームなどをご検討の場合には、ぜひ耐震診断結果などを踏まえてできるところから合わせて補強されていくと、無理なくお住まいの耐震化を計画的に進めていくことが可能です。

 

 

この場合、耐震化に必要な費用も極めて安価に抑えることができると思われますし、何より少しでも安全・安心の確保につなげることができます。

 

 

さほど変わらない費用、そして工事期間のなかで耐震改修がいっしょにできるのに、何もしないなんてほんとにもったいないです。

 

 

もちろん、冒頭のリノベーションなどで全体の機能、性能の向上を図る際には、何よりも構造の安全性の確保にご留意いただけましたら幸いです。

 

 

弊社も、十分これらの点に注意しつつ、お客様の安全・安心確保のお手伝いをさせていただくようにしたいと思います。
既存住宅だから、中古だからだめだ、建て替えだというお話ではなく、十分その実態を理解しつつ、必要な機能強化をはかり、よりよりお住いを確保していただくためのご参考になりましたら幸いです。

 

 

耐震診断、耐震改修、補強工事、助成制度等関しても、お気軽にお問い合わせください。

中川住研三田営業所 TEL.079-568-0375 または、お問い合わせフォームから。

篠山市、三田市周辺のお客様の場合、比較的に早めにお伺いすることが可能です。